木村 真一郎 氏(監督・絵コンテ・演出)インタビュー

Q1:今回、主人公を美依(みい)と優子(ゆうこ)という中学生の女の子にした意図はなんでしょう
か?


感情移入しやすくするためですね。戦争や医療と言われると、難しそうと思われがちです。なら普通の女の子達が、見る側の視点で物語を進めれば、と思ったんです。まず美依が疑問を抱いて、優子が回答するという構成です。最初は一人だけとか、姉弟という案もありました。でも舞台が戦争という事と、戦争より博士の人間性に焦点をあてると、一人じゃ心細いし、男の子は好戦的な所があるので、女の子二人だろうと。ちなみに名前は単純に「me」と「you」なんですよ(笑)



Q2:制作で気をつけている事や、留意している事がありましたら教えてください。

「戦争の描き方」ですね。そこに善悪の区別はつけないようにしています。あくまでも赤十字のスタンスですね。あとは、60分間で言いたい事、描きたい事が収まるかどうか不安です。まあ、その時は三部作で(笑)それは冗談として、今のシナリオだと、少しキツイので、どうスリム化するかが現時点の留意点です。



Q3:ジュノー博士の描き方が重要になると思うのですが、何か工夫されている事などありますか?

原爆を前面に出していない事でしょうか。今回の作品は原爆より人間性の持つ強さや温かさといったものが大事だと思うんです。制作委員会の津谷代表のお話を聞くと、「原爆」や「戦争」よりも、「人間愛」を念頭に置いておられるようなので、僕としても「あ、それいただき」と(笑)

Q4:今回の制作で、一番大変な事は何ですか?

特に困ったのは資料の少なさと探す事の難しさ。業績等は資料でわかりますが、どんな気性・性格の人かは資料だとわかりづらい。最近、ようやく博士は手品が得意だったって事を知ったんです。交流手段として手品を使ったんですね。ここはストーリーに取り入れたいと思っています。
あとは、人間愛をテーマに何かを作るのって、すごく難しい事だと思うんです。例えば、世間的な見方をすると戦争や原爆って歴史から隠されているというか、中々表に出したがらない。そんな中で大事なものって、優しさとか愛だって思うんですよ。でも分厚い本だとそれが伝わりにくい。「第三の兵士」のような、理解するのに苦労しそうな概念を美依と優子に咀嚼させています。



Q5:作品を通して、視聴者に訴えたい事はありますか?また、どのような感想を抱いて欲しいですか?

僕の一番の想いは、マルセル・ジュノー博士を知ってもらう事です。6月の記念祭(ジュノー記念祭)、20周年でしたが、残念ながらあまり認知されていない。大事なのは認知の拡大です。まずそこからだと思うんです。その後、観てくれた人が何か行動を起こす。僕らのやる事はその出発点作りだと思います。感想は二の次ですね。

Q6:今まで手がけた作品など教えてください。

「まっ黒なおべんとう」という原爆の映画を製作した事があります。教材用のアニメでした。他にも沢山あるけど、話しだしたら止まりませんよ(笑)。

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