津谷 静子
LLPアニメ・ジュノー制作委員会代表
NPO法人「モーストの会」理事長


今年は赤十字思想誕生150周年でもあります。私たちはこの記念すべき年に「広島の恩人」マルセル・ジュノー博士のアニメ映画を制作しています。マルセル・ジュノー博士の記念碑は平和公園の東南にあります。しかし広島でも博士の事は余り知られていません。ジュノー博士や多くの人々から広島を助けていただいた事に感謝し、広島からわずかでも平和の架け橋になる事を願って、1994年から医療支援活動を始めました。そしてロシア語で「橋」を意味するモースト「MOCT」を支援活動の団体名として掲げました。

しかし、困難が続き、活動を始めてから10年目頃には支援活動を終わりにしようと思うようになっていました。挫折し低迷していた時、ジュノー博士が医薬品を広島に届ける為に大変な困難があったことをふと思い出しました。困難を越えて広島を助けてくださったマルセル・ジュノー博士はどの様な人生を歩まれた人なのか?私は博士の生い立ちと生涯を知りたいと思うようになりました。

博士は困難にぶつかるたびに「赤十字には条文がある。しかし乗り越えてゆくために必要なのは、条文の奥底にある愛です。」と一貫して示されています。私は、それが赤十字の精神で「無償の愛」と知りました。そして、絶望の時にも希望を持ち続けた博士の生き方は、人生の大きな手本になると深く感じ入りました。

私は、 博士の生涯を通して、挫折から立ち上がることができました。博士から「愛のジュノー便」が届いたと思っています。一人でも多くの人に、生きる希望と勇気を持つために役立てて頂きたいと願い、博士の生涯を描いたアニメーション映画「ジュノー」の制作を思い立ちました。「世のあり方」を説くのではなく「人のあり方」に触れるこの映画を通して、届けていただいた「愛のジュノー便」を送り出してゆきたいと思っています。

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